■篆書体(てんしょたい)■
小篆、印篆などをまとめて篆書体といい、主に法人印(会社の実印、銀行印)などによく使われます。
歴史的にはもっとも古い書体で、象形文字が基本になっているといわれています。
印刷技術がない時代、人によって毛筆の文字はさまざまですが、それらを印鑑用に形を整えたものを「印篆」と呼んでいます。
身近な例として、紙幣に印刷してある印鑑「總裁之印」「發券局長」も篆書であり、一般的な印鑑の書体と言えます。
・印篆(いんてん)
直線、直角。水平、垂直。斜めの線は少ない。
中国では秦、漢の時代から使われていたとされ、印鑑の文字として最も多く使われます。
・小篆(しょうてん)
同じく水平、垂直を基本をしながらも、斜めの線があり線質に動きがあります。
均整のとれた美しい文字であるため、印鑑だけでなく、石碑、額、篆刻(石に彫る芸術品)にも使われます。
紀元前221年、秦の始皇帝が中国を統一するときに小篆を完成させたとされます。
■隷書体(れいしょたい)■
象形文字や手書きの篆書体を簡略化したもので、比較的読みやすい書体です。
法人印での使用が多く、個人印ではあまり使われません。
秦の時代、中国で生まれ、主に役人が公文書などに使う字を統一しようと考案されました。
当時は竹簡(板状の竹)に文字を書いていましたが、一枚に多くの文字を書くためにやや平たい四角形なデザインになりました。
■古印体(こいんたい)■
隷書体をベースに、独特の線の強弱や途切れを取り入れた、日本で生まれた書体です。
比較的読みやすく、主に認印や銀行印などで使われます。
鋳造の際に型の細部まで鉛が入り込まず、線端部が丸くなったり、線が切れたりしたものを真似て作られました。
埋もれていた鋳造文字が腐食したものをイメージしたという説もあります。
■楷書体(かいしょたい)■
隷書体からできた書体で、すっきりと読みやすい字形。現代人が一番慣れ親しんだ書体といえます。
認印のほか、インク浸透印に多く使われる傾向があります。
「竹簡」から「紙」へと変わり、筆使いも大きく自由な形になりました。
■行書体(ぎょうしょたい)■
楷書体を早く、続けて書いた書体で、楷書のすっきりとした読みやすさに柔らかさが加わりました。
そのため女性によく好まれます。
楷書と行書の中間である楷行書体というものもあり、どこをどう崩すかは職人によって変わります。
番 外
□印相体(いんそうたい)□
日本で生まれた、新しい書体。
篆書体をもとにしてアレンジされたもので、八方に線が伸びていたり、印面いっぱいに文字が広がっていたりします。
決まった形がないので、職人によって個性が出やすい。
しかし本来ある文字の形から逸脱することが多く、真面目にハンコの勉強をしてきた人間ほど印相体を好ましく思いません。
当店でも取り扱っておりません。
開運だの縁起がいいだの言われることも多いですが、根拠はなく、ただのうたい文句です。
参考↓
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