↑こちらのページでも触れましたが、手彫りか機械彫りかの判断は、印影や印面を見ればだいたい分かります。
ですが一般の方には、非常に判断が難しいと思います。
でも少しでも理解しておけば、手彫りだと騙されて機械彫りのハンコを買わされる事は減るはずです。
そんな願いもこめて、ここでは機械彫りの特徴をいくつかご紹介します。
●文字の線がまっすぐ過ぎる
篆書体、古印体、隷書、楷書、行書……どの書体にも言えることですが、横線が完全な水平直線であることはまずありえません。
どの書体も微妙な曲線になっていたり、斜めの線になっています。
ゴシック体のようにきっちりした直線しかないものは、まず機械彫りだと思っていいでしょう。
PCの字をそのまま彫っている証拠です。
ただ、手彫りでゴシック体を彫るよう注文をお受けすれば、その通り彫るでしょう。
この場合、手彫りである必要は全くありませんが。
●文字の配置が、等間隔になっている
上の二つ、下の二つは同じ印影です。
手彫りで彫ったものですが、字画の数、文字の形などを考慮した結果、等間隔ではない配置になっています。
対する下段の印影は、わざと機械彫りっぽく配置してみました。
等間隔に配置した結果、不自然な隙間が生まれて全体的な調和が崩れてしまっています。
印稿を作る際、字画の多い文字は大き目に。字画が少ない字は小さ目に配置します。
そうすることで全体の調和がとれ、美しいハンコになります。
ですが機械のプログラムではそれが難しく、一部分だけが詰まっていたり、一部分だけが広かったりとバランスの悪いハンコになってしまいます。
さらに配置の際に、無理やり文字を縮めたり延ばしたりすることにもなり、線の太さが揃わずゆがんだ文字になってしまいます。
もし印稿の段階で人の手が入っていれば、それを緩和することも可能なのですが。
それをいちいち画面上で修正するのは大変な手間がかかります。
なので納期に追われる安価店では、ゆがんだ印稿のまま機械で彫り、売ってしまうのです。
●回文の文字が扇型になっている
こちらは代表者印など、枠が二重になっているハンコの場合。その外側の文字がポイントです。
四角い文字を無理やり円形に配置するため、上部が長く下部が短い、扇型に伸びた字になっているケースがあります。
縦線も上部だけ太くなり、とてもみっともない字になってしまいます。
そもそも、手彫りでこういった字を扇状に伸ばす配置は基本やりません。機械彫りならではの印稿と言っていいでしょう。
(ただ、書体が印相体の場合は勝手が違ってきますが、当店では印相体でのご注文をお受けしていません)
●線が交わる部分が円い
文字と枠が接する部分や、縦線と横線が交わる部分。その角が丸ければ機械彫りです。
機械彫りは、刃を回転させて彫ります。なので、どうしても角が丸くなってしまいます。
ですが手彫りの場合は、角の際まで彫ることができます。
線が交わる箇所が多ければ多いほど、手を施す量が多くなり、偽造防止になると言えます。
●枠の太さが一定ではない
これが一番分かりやすいと思います。
印材は一見まんまるに見えますが、実はどれも若干歪んでおり、真円であることはまずありません。
天然素材であればなおさらです。
それをそのまま機械で彫ると、枠が均一ではなく、太いところと細いところが混在することになります。
手彫りであれば枠に沿って削ることで均一にすることができますが、機械彫りの安物ではそこまで手をかけません。
なので手彫りハンコだと思って買ったハンコの枠が均一ではなければ、それは騙されて買った粗悪品です。
あるいは単に店の技術力不足と言えるでしょう。
以上、主な5つの見分け方をご紹介しました。
ですがもちろん、例外はあります。
一番確実なのは、やはり実際にプロに判断してもらうことです。
もしお手持ちのハンコで疑問に思うことがありましたら、写真を送っていただければ鑑定いたします。
場合によっては、確実に断定することができないかもしれませんので、あらかじめご了承ください。
参考↓
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