ハンコを作ると一言でいっても、実はたくさんの行程を経て作られます。
ここでは、ご注文を受けてから完成までの流れを簡単にご紹介します。
【1】 印稿作り
ご注文内容にそって、彫刻する設計図となる「印稿」を作ります。
ハンコの出来映えの8割以上はこの印稿の出来によって決まるといっても過言ではありません。
彫る技術はもちろん大事ですが、字を選んで配置する技術も大変重要です。
(機械彫りの場合は、フォントを使用します)
【2】 字入れ
印稿が決まったら、それをそのまま、朱墨を塗った印材に直接書き入れます。
ただし字の向きは逆になりますので、鏡を使い左右のバランスを意識しながら書き進めます。
普通は筆を使って字入れする職人さんが多いですが、極細ペンを使用する人もおります。
大きなものや細かいものになると、別に用意した印稿を印材に貼り付けて転写する方法もあります。
当店ではPCで手書きした印稿を印材に転写します。
【3】 荒彫り
字入れが終わったら、数種類の彫刻刀(印刀)を駆使して、赤い部分を彫り下げます。
ただ彫り下げるだけではなく、彫った底面の深さを揃えると見栄えがきれいになります。
ハンコを使うときに直接関係ない部分ではありますが、人目につく場所ですので、職人は細部まで気を抜きません。
この荒彫りがどれだけきれいに出来るかで、次の作業の効率に関わってきます。
(機械彫りの場合、ここまでを機械で彫刻した状態で納品となります。人の手はほぼ入っておりません)
【4】 仕上げ
荒彫り後に薄く印面を削ってから、改めて墨を塗ってから線を整えていきます。
この行程で、文字に命を吹き込むことでそのハンコが生きたはんこに変わります。
大変集中力が問われる作業であり、職人の腕の見せ所でもあります。
ここでも鏡を使ってバランスを確認しながら彫っていきます。
【5】 捺印
仕上げが終わっても、まだ完成ではありません。
何度か実際に捺してみて、最終確認をします。字が曲がっていないか、バランスはとれているか、等々。
そうしたチェックをクリアしてから、ようやく完成、納品となります。
ですので、納品時には印面にわずかに朱肉が残った状態でお渡しすることになります。
これは職人がOKサインを出したという意味でもありますので、ご了承ください。
このように、ハンコが完成するまでの行程をおおまかにご説明しましたが、実際にはこの何倍もの行程を経てできあがります。
ただし、これらは「完全手彫り」での場合です。
職人がいる多くの印章店では、荒彫りを機械でやってから手で仕上げる「手仕上げ」が主流となっています。
主に金額と納期の関係から、完全手彫りで彫ることのほうが少ないです。
ちなみに世に多く出回る既製品は、機械で作った印稿を機械で彫っただけの「機械彫り」ですので、人の手はほぼ入っておりません。
だからこそ大量生産が可能で、安価でご提供できるわけです。正直に言って出来はよくありません。
ですから、全く同じはんこが全国に存在することになります。くれぐれもご注意ください。
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